新「医療データの活用を考えてみる」 Vol.6
ヘルスコミュニケーション

医療情報データベースを提供したり、利活用のサポートをしていますが、その中で作成された『情報』がどのように伝えられるのか?
最近の「コロナワクチン」の報道を通して『ヘルスコミュニケーション』というものについて触れてみたいと思います。

 皆さん、こんにちは。JMDCの寺島です。

 この原稿がアップされているころは、東京パラリンピック開催中のタイミングかと思いますが、いかがお過ごしでしょうか。

 コロナワクチンの接種も進みつつあり、私のまわりでも2回目まで完了したという話も聞くようになりました。JMDCが健康保険組合の加入者向けに提供しているPHRサービス『Pep Up』の一つの機能として、『ワクチン接種記録』(https://www.jmdc.co.jp/news/news20210405/)を今年4月から提供していますが、すでに数万人のPep Upユーザーが活用をしているようです。Pep Upの特性上、職域接種が開始されているのも利用者を増やしている要因もあるようです。PHRの本来の「自分の健康情報を管理する」という目的で多くの方が活用いただいているのは非常にありがたいことだと感じています。

 さて、データベース研究を中心としたテーマでこのコラム連載を始めていましたが、もう少し幅広い話題に触れられるように6回目にしてタイトルを一新しました。これまでのデータベース研究でのお役立ち情報もですが、さらにいろいろな切り口で情報提供や問題提起をしながら、ヘルスケア領域へ何かしらの貢献をしていくことができればと思う次第です。
 今回は医療情報の伝達について、考えてみたいと思います。

【コロナワクチンで感じたこと】

 冒頭にも書きましたが、コロナワクチンの接種が進んでいます。
 私自身は長年製薬業界に「浸かってきている」ので、自分に処方される医薬品の名称やメーカー名など普段からも聞いたり、仕事でも馴染みがあります。
 ただ、いわゆる病院で処方される医薬品というのは、一般の方に対しては、製品名を大々的に出したプロモーションがされることはありません。「ある難病で画期的な新薬が出た」「高額薬価の医薬品が出た」「深刻な副作用が出た」など、こうした際に医薬品の名称や企業名が報道されます。当然ながら、医薬品の有効性や安全性についてあまり一般の情報として触れることがないと思われるので、今回のワクチンでの様々な情報は不思議な感じがします。
 もちろん、コロナワクチンであるということもあると思いますが、「ファイザー製」「モデルナ製」であるとか、どちらのワクチンの方が〇〇という副反応が多い/少ないなど各所で集積された副反応情報が連日報道されています。

 仕事柄かもしれませんが、私自身、こうした情報が適切に伝達されているのかな?とついつい疑問に思ってしまいます。
 接種している人の背景情報はどうなのか?それによって、当然結果も異なるかもしれない。いつも病院で処方される医薬品は多くの人は、医師の言われるままに処方されていますが、今回のワクチンは、選択ができる、少しでも安全性の高い方がいいなどなど、、これまでになかったような状況だなと不思議な感じがしています。

 コロナワクチンについてここで述べるわけではないのですが、このワクチンの報道を機に医療情報を患者さん、国民にどう伝えるのか?っていうことを改めて考えみようと思いました。


【ヘルスコミュニケーション】

 数年前ですが、『ヘルスコミュニケーション』という概念を知りました。読んで字のごとく、健康に関したコミュニケーションで、皆さんもいろいろとイメージされるかと思います。
 学問的には、「健康を増進させる情報提供と個人の意思決定の促進のためのコミュニケーション戦略の研究と活用」という定義がされているようで、❶医療従事者・医療消費者間のコミュニケーション、 ❷医療従事者間のコミュニケーション、❸医療消費者間のコミュニケーションが主として考えられます。私自身は、「医療情報(きちんとエビデンスがある)をどうわかりやすく医療を受ける人に届けるのか?」という風に考えています。そのコミュニケーションの中のひとつに「Drug Fact Box」という考えがあるそうです。

 患者中心の医療の概念の中で、コミュニケーションというのが重要になってくる中、こうした取り組みも少しずつ注目されてきていると思います。
 製薬業界に接していると、医療者にどのように情報を届けるかという話は良く耳にします。私たちがサポートしているデータベース研究も医療者と医療についての課題を見つけるため、課題を解決するため、実態の情報を届けるためなど、基本的には医療者向けに提供される情報として活用されるケースが多いかと思います。でも、そうした情報は最終的には、その病気である患者さんが医療を受ける際に、その処置や投薬がどういうものであり、それでどうなるのか、というコミュニケーションに使うためと感じています。
 そう考えた時に、患者さんが受ける説明、受け取る情報っていうのは、実はすごく限られているのではないか?と思います。製薬企業が提供できる情報というのは、さまざまな規制があるので、自由にできるという訳ではありません。とはいえ、こうした情報伝達、コミュニケーションにおいて、それぞれの課題があるような気がしており、私たちのような医療に関するデータを扱う立場としては、何か取り組めないだろうか?と思ってしまいます。

 コロナワクチンの状況から、「一般の人もわかりやすく、誤解をしない医療情報の伝達」、個人的には興味深いテーマなのかなと改めて感じています。

◆日本ヘルスコミュニケーション学会 http://healthcommunication.jp/

お問い合わせはこちら:https://www.jmdc.co.jp/inquiry/